TOY おもちゃ

TOY おもちゃ

1950年以降、産業社会が急速な変化をとげるなか、それまで子どもの健やかな成長を願い作られてきたおもちゃにも大量生産大量消費の図式が定着してまいりました。一方で、おもちゃの使い手である子どもたちの側に立ち、良いおもちゃを求める運動もドイツを中心に広がり始めます。当館ではその考えに共鳴し収集したおもちゃを展示いたしております。
そして、子どもの「生活と遊びと文化」を研究・提案してまいります。

ドイツエルツ地方のおもちゃについて

 

おもちゃツアー

おもちゃにまつわるお話や「例えばの遊び方」として、パフォーマンスを交えながらおもちゃのご紹介をいたしております。おもちゃで遊ぶ子どもだけでなく、おもちゃを選ぶ役割を担う大人の方にも、おもちゃの持つ魅力をお伝えしたいと考えております。

毎日  10:30 / 12:00 / 13:30 / 15:00 (約25分)

 

ドイツ・エルツ地方のおもちゃ

おもちゃの村ザイフェン

ドイツ北東部エルツ山脈の山間にある小さな村ザイフェン。この村に一歩足を踏み入れると、そこにはおもちゃの世界が広がります。この地方は14世紀から錫をはじめ、銀などの採掘業で発展してきましたが、19世紀半ば鉱山の衰退に伴い木工業、特に木のおもちゃ作りが盛んになりました。村のほとんどの人が、何らかの形でおもちゃ作りに従事しているザイフェンでは、身近な生活の営みや願い、そして歴史を大切にする心が、おもちゃを通じて表現されています。そうしたザイフェンのおもちゃをカテゴリーに分けてご紹介します。

 

ザイフェンの歴史

ドイツ北東部 エルツゲビルゲ地方の北部に位置するザイフェンに伝わる歴史の始まりは、数百年前までさかのぼります。錫の生産地として栄えたこの地方で川床から錫鉱石の粒をseifen(洗鉱する)したところからこの村の名前は「ザイフェン」と名付けられました。
しかし17世紀ごろから鉱業が衰退し始めるとともに、人々の生活は苦しくなり、趣味や副業として行なっていた身近な森林資源を利用して木工品の制作に活路を見い出すようになりました。
ザイフェンでは鉱石を砕くのに使っていた水車を利用して「ろくろ」を動かし、木を削り出しました。この「ろくろ」を使って、皿やボタンなど日用品を中心とした木工業が始まりました。
こうしてザイフェンは「ろくろ」の街に変わり、かつての鉱山で働いていた山男たちは見事なろくろ引きや玩具職人に転身していきました。
現在、人口3000人のザイフェンで、おもちゃの工房は150件以上、2000人もの人が何らかの形でおもちゃ作りに携わっています。
しかし東西ドイツ統一後、西側資本が入ってきたことにより、ザイフェンのおもちゃ産業も形を変えつつあります。

 

家内工業

ザイフェンの工房は家族ぐるみの小さな工房がほとんどです。
これは東西ドイツ統一前の旧東ドイツでは、10人以上の企業は国営化されてしまったからです。企業が国営化されると資源は没収、従業員は公務員として国の管理下におかれるような状況でした。
その中でザイフェンのおもちゃ職人たちは事業を拡大させることはなく、1~10人の零細企業としておもちゃを作り続けました。小さなおもちゃザイフェンのおもちゃはマッチ箱に入ったものなど、ミニチュアのおもちゃが多いのも特徴のひとつです。

 

HPくるみわり

くるみ割り人形

今から200年程前、過酷な税金をとりたてる代官や厳しい仕事を強いる鉱山の監督官、威張り散らしている王様や兵隊、警官といった権威をふりかざしている人達に「何か堅いものをかませてそのうるさい口を封じてしまいたい」という意味を込めて作られました。口にくるみを入れて背中にある板を押すとくるみが割れます。現在作られているものは、ほとんど飾り物で実際にくるみを割る事は出来ません。

 

HP煙だし

煙出し人形

人形の内部にモミの木の葉を乾燥させて固めた「お香」を入れ、火をつけると口から煙をはき出します。19世紀初めからクリスマスの飾りとして作られるようになりました。17世紀初頭から作られ、当時はトルコ人をモチーフにしたものが多く作られました。ヨーロッパでは喫煙は宗教上の戒律によって禁止されていましたが、通商で来るトルコ人たちは実においしそうに煙草を吸っていました。そんなトルコ人の姿を人形にしたのが煙出し人形ではないかと言われています。

 

ピラミッドHP

ピラミッド

700年代からエルツ山地に伝わるキャンドルスタンドです。エルツ山地が鉱山資源で栄えていた頃、人々は美しい石を見つけると部屋の中に三角形に積んで飾りました。その形がピラミッドの原形になったと言われています。この仕組みは採掘された鉱石を地上に運び出したり湧き出した水を坑道の外に排出する為に使われていた木製ウインチが原形となっています。ろうそくに火を灯すと上昇気流で上部のプロペラが回りはじめます。

 

HPシュヴィップボーゲン

キャンドルスタンド・シュヴィップボーゲン

キャンドルスタンド

ザイフェンではクリスマスシーズンを迎えると、家々の窓辺に様々なキャンドルスタンドが並びます。
ザイフェンはアルプス山系につながる山岳地帯にあるため、冬はとても厳しく日照時間も短い土地です。鉱山で働く人々は仕事が休みの日にしか太陽を見る事ができませんでした。ザイフェンのおもちゃにロウソクを使ったものが多いのは、光にあこがれる鉱夫達をなぐさめたいという家族の気持ちのあらわれであるとも言われています。

 

シュヴィップボーゲン

かつて鉱山ではクリスマスイヴの習慣として、鉱山内で祈りをささげた後、それぞれ自分たちのランプを坑道の入口に掛けて家路につきました。このランプの灯りが、入口のアーチを縁どって明るく輝く様子が、シュヴィップボーゲンのイメージとなりました。1762年に鉄製のシュヴィップボーゲンが初めて作られ、19世紀にはエルツ地方の各地で同様のものが見られるようになりました。

 

HPライフェンドレーン職人

ライフェンドレーン

18世紀にザイフェンで考案された「ろくろ」技術です。かつて鉱石を砕くのに使っていた水車を利用して「ろくろ」を動かし木を削り出しました。これは丸太をバ-ムク-ヘン状に削り込み、それを輪切りにするとその断面が動物や人形の姿として現れ、同じ形状のものを一度にたくさん作り出すことができるというものです。現在、この技術を持つ職人は10人ほどしかいません。

 

シューパンバウムHP

シューパンバウム

木を削って、削った部分のカールを木の枝に見立てた置き物です。1本の木から作るもの後から葉をつけるものや、規則的な枝のもの。白木や色付きのものなど様々な種類があります。

 

ノアの方舟HP

ノアの方舟

ザイフェンで作られたノアの方舟セットは、19世紀の半ばから20世紀の初めにかけて数多く作られ、ヨーロッパやアメリカにも輸出されました。動物の種類と数はセットの大きさによっても違いますが、200種を超す動物を持ったセットもあったそうです。動物はライフェンドレーンというザイフェン特有の「ろくろ」技術を用いて作られています。

 

ノアの洪水物語
神は、地上に悪が増していることを嘆き、すべてのものを滅ぼそうとした。しかし、「神に従う無垢な人」で「主の好意を得ていた」ノアだけ除外される。ノアは神に命じられた通り3階建ての方舟を作り、家族8人と生きもの全て1つがいを船に乗り込ませた。神の言葉通り大雨が降りだし、40日40夜大雨が降り続き、洪水は150日にもおよび、方舟に乗り込んでいたノアの家族と動物以外は全て滅んでしまった。

 

ペンデル、エンテHP

動くおもちゃ

動きを伴う人形や動物のおもちゃは、何世代も前からザイフェンの職人たちが取り組んできたテーマです。メカニズムは単純ながらも、子どもたちの心、そして大人たちの心も虜にする楽しいおもちゃです。時の流れと共に木製玩具はドイツ全域に広まりました。

 

エンテ
ドイツ語で「カモ」のことです。体を押すと車輪がまわり、口をパクパクさせながら、首を伸ばしたり縮めたりして前進します。

 

ペンデル
ドイツ語で「振り子」のことです。「振り子」が揺れると人形の首や尻尾が動きます。

 

のぼり人形
ひもを下にひっぱったり放したりすると、体を曲げたり伸ばしたりしながら少しずつ登っていきます。

 

ピコピコ人形
人形が乗っている台の裏にあるボタンを押すと動物がくねくねと動きます。
ボタンの押し方や台の傾け方で様々な表情を楽しむことができます。

 

やじろべえ
のこぎり男はエルツ地方の代表的なやじろべえです。
「クリスマスのプレゼントには何をいただきましたか?」
「下にオモリのついたのこぎりのおじさんの人形をいただきました。」
これは18世紀から存在するエルツ地方の童謡です。

 

鉱夫のパレードHP

鉱夫のパレード

この鉱夫のパレードは19世紀初めの画家フライベルグ出身のG・E・ロストの図案に基づき、ザイフェンのヴァルター・ヴェルナー氏によって作られたものです。1831年のパレード用制服を着用し、歴史的にも忠実に再現されています。ベストやひもの色、袖の折り返し、襟やボタン、持っている道具などから鉱区や階級などが分かるようになっています。

 

ウィルヘルム人形HP

お人形

ウィルヘルム人形
マクスとモーリツ、白雪姫などのお話の登場人物を淡い色彩とユニークな表情で表した人形です。

 

ギュンター・ライヒェル(ライフェル)
ギュンター・ライヒェル工房は、エルツ地方の「Pobershau」という小さな村にあります。 顔の傾け方や手足の張りつけの位置 などの工夫で、1つ1つの人形に表情が生まれ、他の工房の作品にはない「動き」や「感情」までもが表現されたものになってい ます。

 

HPオーナメント

オーナメント

エルツゲビルゲ地方では、古くからそれぞれの村に特有のクリスマス用品をドイツ全土に送り届けてきました。手仕事で丁寧に作られているもので、それぞれの工房独特のモチーフや作り方があります。

 

HP天使と鉱夫

天使と鉱夫

ろうそくを手にした天使と鉱夫のキャンドルスタンドはエルツゲビルゲ地方を代表するモチーフの一つです。ザイフェンがかつて鉱山で栄えていた頃、天使が石炭や鉱石の採れる場所を教えてくれたと言われています。また、危険な鉱山で働く夫の帰りを待つ妻の姿にも重ねられました。20世紀前半頃まではろくろの技術が稚拙で、人形の腕はろくろでは十分に表現できなかった為パン粘土で作られていました。エルツゲビルゲ地方では、子どもの出産祝いとして、女の子なら天使を男の子なら鉱夫の人形を贈る習慣があります。

 

教会と聖歌隊HP

教会と聖歌隊

ドイツではクリスマスの時期になると子どもたちがお菓子やお金をもらう為に聖歌を歌ってまわる「クレンデ」というお祭りがあります。ザイフェンではこれを『5人の聖歌隊』としてシンボルである八角教会やもみの木と組み合わせて作ってきました。

 

マッチ箱HP

小さなおもちゃ

マッチ箱のおもちゃ
ザイフェンのおもちゃはマッチ箱に入ったものなど、ミニチュアのおもちゃが多いのも特徴の一つです。小さなおもちゃは材料の節約、そして税金対策の為に作られていました。1890年頃、輸出の際に重さで税金がかけられるようになりました。そこでより沢山輸出することができて、材料も節約できる小さなおもちゃが作られたのです。輸送にも便利なマッチ箱のおもちゃはザイフェンのおもちゃ販売業者であるハインリヒ・エミール・ランガーの発案です。

 

小さな部屋
税金対策のため、材料の節約のため作り始められた小さなおもちゃは、今でもエルツ地方でたくさん作られています。この『小さな部屋』シリーズはザイフェンのギュンダー・フライス氏(Gunter Flat)によって作られたもので、伝統的なザイフェンの生活や、仕事場の様子が忠実に再現されています。